住宅改修の方法 3 洗面脱衣室・浴室
洗面脱衣室では、顔を洗ったり歯を磨いたり、衣服を脱いだり着たりと、さまざまな動作を行うので、バランスを崩して転倒しないためには、手すりを設置したり椅子(ベンチ)を置いたりすると安全に動作を行えます。また浴室は、日常生活の動作の中でもっとも複雑な動作が多い場所と言われています。そのため、家庭内事故の発生率が高い場所でもあります。入浴動作で気をつけるポイントを以下にあげてみます。
- 浴室内の移動動作
- 身体を洗う動作
- 浴槽の出入りの動作
- 浴槽内での立ち座りの動作
具体的には、以下のような改修方法があります。
1.手すりの取り付け
浴室内の手すりは、基本的には浴室の形状やお体の状態によって必要な箇所がひとりひとり違ってきますが、参考に安全に配慮して必要と思われる箇所をご紹介します。以下を検討してみて、使われる方がどれが必要かを確認してみるのも1つの方法です。
- 浴室の出入り口に段差がある場合など、安定してつかまって出入りの動作を行うための縦手すり
- 洗い場で立ち座りをする時に安定して動作を行うために、身体を洗う時に向かう壁(たいてい蛇口のついている方向)に縦手すり
- 洗い場を移動する時に転倒しないためにつかまって移動する横手すり
- 浴槽に出入りをする時に身体のバランスが崩れないようにつかまって、洗い場から浴槽内の段差をまたぐ動作を行うための縦手すり(浴槽縁の垂直線上の壁位置に)
- 浴槽内での立ち座りと姿勢を保つためのL型手すり
2.段差の解消
浴室は水が脱衣室に流れないように入口に段差があり、洗い場と浴槽内の高低差もあり、段差が多く転倒しやすい場所です。脱衣室と浴室洗い場の床段差をなくして歩行での移動や、車椅子などでの移動を安全に行えるように改善します。その際に、洗い場の水が脱衣室に流れていかないように、グレーチング(排水溝)を設置します。
- グレーチング設置例:
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左が設置前、右がグレーチング設置後。
床段差の解消には、コンクリートで段差を埋めるなどの工事を行う方法と、すのこなど福祉用具を使う方法があります。
- 浴室すのこ設置例:
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左が設置前、右が浴室すのこ設置後。
浴槽が深すぎてまたぎ動作が不安定であったり、困難な場合は、浴槽を浅いものに取り替える方法もあります。一般的に出入りや安定した姿勢を保つために適している浴槽は、和洋折衷式浴槽です。外形寸法は長さ1,000~1,400mm(高齢者や障害者に適したものは1,100~1,300mm)、横幅700~800mm、深さ500~550mm程度が使いやすいサイズです。 また浴槽縁の高さが洗い場床面から400~450mmとなるように据付工事の際に調整すれば、またぎ越しも楽になり、シャワーチェアと高さを合わせて腰掛けての浴槽への出入りもスムーズに行えます。
3.扉の取替え
浴室の出入り口の有効開口(扉の厚みを引いた幅)が狭くて通りづらい、また出入り口の扉が開き戸や折れ戸で車椅子での移動や介助者が一緒に入って動作するのが難しい、などの場合は、扉の取替え(例えば開き戸から引き戸、折れ戸など)を行う方法があります。3枚引き戸なら、車椅子で出入りする程度の有効幅も十分とることができます。
4.床材の変更
床の素材がすべりやすく転倒の危険がある場合、すべり止め加工のタイルなどに取り替える工事を行うと安全です。また、福祉用具のすべり止めマットを敷くのも1つの方法です。ユニットバスに取り替える工事をすると、すべりにくく暖かい素材の床材が組み込まれていますので安心です。
5.その他
暖房設備
浴室と廊下、脱衣室との室温の急激な変化による高齢の方、障害をお持ちの方への身体的負担を少なくするために、洗面脱衣室も浴室も暖房設備を設置する事が望ましいです。浴室では、温風と言っても塗れている肌に風があたると寒く感じる場合もあります。赤外線と温風を切り替えて使用できる浴室用暖房機も市販されています。またコンパクトな洗面所用の暖房機も市販されています。それ以外でも、一般電化製品のヒーターでも身体を冷やさないためには効果的です。
水栓金具
水栓金具は力の弱い方にも吐水・止水しやすいレバー式が主流になってきています。レバーは、指をかけて操作できるリングハンドル、レバーを横長に大きくしたアーチタイプハンドルやレバーが長めで手の甲で押し上げしやすいような配慮がされたものなどがあります。
また、誤操作によって熱湯や冷水を身体にかけてしまうことのないように、温度調整機能の付いたサーモスタット付き水栓を選ぶと安全です。

TOTO サーモスタット付き水栓
- あくまで基本的な改修方法の例ですので、すべてがこのページの方法でよいとは限りません。住宅改修を検討する際には「住まい Q&A」もあわせてご覧ください。
なお、住宅改修を行う際に、入浴に関する福祉用具も組み合わせて検討すると、よりお風呂での動作が快適に行えます。また、住宅改修だけで解決する方法よりも費用が安くなる場合が多くあります。「お風呂まわり」のページもあわせてご覧ください。



